家に智絵里軍団

シンデレラガールズと雑談のパッチワーク(ツイッター→ @yenichieri)

『藤本里奈プロ初勝利』(妄想ロードレース)

P「まのやま!」
蘭「?!」
P「ツールも折り返し」
凛「今年は“魔の山”は上らないけど」
楓(自転車乗ったらRUN子ちゃんね)
(ゲーム内投下日 17/7/11)

 

………………

『まのやま!』

 

P「本日は、6周年アニバのナントカっていうイベントの日だったみたいですが……そんなことは置いておいて、やりますよ、『藤本里奈プロ初勝利』」

夏「ああ、『脳内妄想ロードレース』だったか?」
杏「そういえば、そんなのもあったね」
P「期せずして、フジリナがイベントに出演中という絶好のタイミングでの披露と相成りました」

橘「予告から約4か月。改めての予告から約1か月。ようやくですね」
P「はい、ようやく橘さんとの約束を果たせます。“次の近日点”も越えずに済みました」
洋「よっ、待ってました!」

 

P「さて、いつもはアシストとしてメイン集団の先頭を引いていることが多いフジリナですが……あるステージレースの序盤で、チームのエースがリタイアしてしまいます」
洋「あちゃー。オーダー組み直しですねー」
P「チームはエースの総合上位狙いから、ステージ優勝狙いへ切り替えます。しかし慣れないこととてなかなか上手くいきません。そして迎えた、第15ステージ」
凛「やけに具体的だね」
保「元ネタのヒントかしらね」
P「距離は200キロと少し。前半から中盤、そして終盤とほぼ平坦。しかし、最後の最後に超級山岳が待ち受けている……というレイアウト」
洋「ドカンと上り一発勝負のステージですね!」
P「ただ、ゴールラインは超級を越えて数キロ平坦を走った街中に引かれています。そんなステージで、フジリナはなんと逃げに乗ってしまいます。逃げなんてまったくと言って良いほどやったことのないフジリナですが、テキトーにファーストアタック決めてみたら、なんかそのまま逃げが成立してしまった的な」
保「狙って逃げるのは至難だけど、逆にそういうケースもあるわよね」
洋「そうそう、逃げには運も大事です!」
P「以前にも言いましたけど、フジリナは逃げが得意なタイプではありません」
凛「“不死身”と呼ばれるほどタフなんだし、独走力はありそうだけど」
P「スタミナを活かして無心に全力で走り続けるのは得意なのですが……ペース配分と駆け引きがモノを言う逃げには向かない選手なんです。個人タイムトライアルも駄目です。『ひとりで走るとモチベ上がんない』らしいです」
凛「なるほど。脚質というより、メンタル的に向いてないんだね」
洋「誰かを引いてこそ真価を発揮する。アシストの鑑です!」
P「そのへんの事情は、本人も百も承知です。彼女は逃げながら心中で考えます、

『このローテってやつ、超ダル~い。アタシが先頭固定で良くない?ダメ?あー、キョーチョー、だっけ。うーん、ラクラクなんだけど、ラクすぎて逆に気持ち悪いっていうか~。もっと追い込まないと脚が腐っちゃいそうぽよ。ダメもとでアタックしたら乗っちゃったけど、リナリナ逃げ向いてないわー』

とまあ、そんな感じのことを。口調の再現度が低いのはご容赦を」

洋「要するに、逃げ集団は居心地が悪いんですねリナちゃん」
橘「伝えたいことは伝わったようなので、再現度については大目に見ます」

P「そして、フジリナはついに暴挙に出ます」
洋「おおっ?」
P「ペースの上がらない逃げ集団に業を煮やし、アタック敢行」
凛「来たね。積極的なのは良いことだよ」
P「残り距離、約150キロ」
凛「ごめん訂正。確かにそれは暴挙だと思う」

P「タイミングの良し悪しはともかく……逃げ集団という枷から解き放たれたフジリナは、後ろに大集団を引いているつもりでがんがんペースを上げていきます」
洋「『後ろに大集団を引いてる“つもり”』走法?!」
凛「メンタルを逆手に取ったんだね」
保「独走だけど、独走じゃない……新しいかも」
P「逃げ集団はフジリナを追わず、タイム差はどんどん開いていきます」

凛「……あ、前方に見えてきたよ、超級山岳が」
神「おい、プロデューサーさんの妄想に巻き込まれてるぞ!大丈夫か凛」
P「フジリナの目にも見えてきました。悪名高き『モン・ヴァントゥ』の姿が」
洋「ええっ、超級ってモン・ヴァントゥだったんですか?!」
保「まさかの“魔の山”登場ね」

P「この時点で、タイム差は約25分。上りも決して得意とは言えないフジリナですが、持ち前のパワーで一歩一歩、ペースを崩さず上っていきます」
凛「うん、自分のペースを守るのって大事だよね。わかる」
P「沿道にあふれる観客の大声援を受けながら、頂上にたどり着いたフジリナ。タイム差は貯金をはたいて5分差まで詰まりましたが、あとは下りと短い平坦だけです」
保「彼女、下りはどうなのかしら?」
P「特に苦にはしていませんが、得意というほどでもありません。度胸も技術もあるものの、わりと慎重派なので」
洋「でも、5分あればいけそうですね」
P「下りをつつがなくこなし、平坦区間。すぐに市街地に入ります。街のなかは人人人、人の海」

凛「あ、チームカーが里奈に近づいてきたよ」
夏「もう完全に幻視(み)えちまってるな、凛のやつ……」
P「チームカーから監督が身を乗り出し、フジリナに何事か告げています。どうやら、『逃げ切り確定』と伝えたようです」
凛「監督が観客をあおってるよ。完全に舞い上がってるね。ふふ」
保「エースを失ってからの、ステージ優勝が目前なんだもの、仕方ないわ」
P「フジリナも観客の声援に答えます。笑顔で手を振り、投げキッス。そして何度も何度もガッツポーズ。改めて言いますが、これが彼女にとってのプロ初勝利なんです」
洋「うんうん、嬉しいでしょうねー!」
凛「大差の独走勝利ならではの魅せ場だよね」

P「残り1キロ。フラムルージュをくぐります。くぐったところで……異変が」

保「え?」
P「フジリナ、スローダウン。ほとんど脚を止め、タイヤは惰性で転がるだけという状態です」
洋「え?え?ここにきてパンク?メカトラ?でもでも、5分あれば……」
凛「5分あっても、ハンガーノックとかだとまずいかも」

P「種明かしをしてしまうと、そういうたぐいのアクシデントではありません」
保「じゃあ、何なの?」

 

P「涙です」

 

洋「え、涙?」
P「観客に笑顔を振りまいていたフジリナが、突如、泣き出したんです」
保「ああ……」
P「繰り返しますが、これがプロ初勝利なんです。これまでずっとチームのためエースのために骨身を削って走り続け、そんな自分に誇りを持ち、満足していたフジリナですが……でもやはり、プロである以上いつかは自分が勝利を掴んでみたいという夢が心の奥底にはあったんです。そして、密かに待望していた勝利のゴールラインがすぐ目の前にあるんです」
凛「うん、それは、泣くよね。私も泣けてきた」
保「きっと現地放送の実況と解説とゲストももらい泣きしてるわ」
P「涙に暮れるフジリナに、より一層の大声援が降り注ぎます。観客たちも彼女の経歴はよく知っているのでしょう」
洋「この距離の近さと一体感がロードレースですよねー」
P「声援に励まされ、ペダリングを再開するフジリナ。若干 慌てた素振りで後ろを振り向きます。しかし、見えるのはチームカーとオフィシャルカー、そしてカメラモトだけ。後続の選手の姿は、どこにも見えません」
凛「うん、大丈夫。余裕あるから、落ち着いて」
保「勝ち確定と思って泣いてるあいだに後ろから迫られてたなんて、洒落にならないわね」
P「涙を拭い、拭いきれずに泣き笑いでゴールラインにやってきたフジリナ。アイウェアを客席へ投げ入れ、最後は両手を広げてオペラ歌手のように優雅なお辞儀をしながら、ゴール」
洋「ぱちぱちぱちぱち!」

P「以上が、脳内レース『藤本里奈プロ初勝利』の顛末でございます。なんとかまとまりました」

洋「良いレースでした!やっぱりロードレースは良いなあ」
凛「うん、けっこう面白かったかも」
文「…妄想の力は偉大ですね」

P「そうそう、エピローグ。ポディウムに上るころにはすっかり笑顔に戻ったフジリナ。シャンパンファイトを終えるなり客席に飛び込み、表彰式で受け取った花束の花を一本ずつ客に配るファンサービスをしましたとさ」
保「そのエピソード、どこかで見たような。これも元ネタのヒントね」

P「はあ、わりと疲れました。妄想するのはタダですが、基本的に映像ですからね。それを文章にするのは大変です」
凛「お疲れさま。はい、ボトル」
P「ども。凛さん、アシストありがとうございました」
凛「私は、自分が見たもの、思ったことを話しただけだよ」

P「妄想レースの台本は、ほかにもたくさんあります。保奈美さん洋子さん凛さんとの合作含め。だから、またやりたいです。時間と体力と語彙が許せば」

 

洋「次はどれが良いかなー。『最強!凸レーショントレイン』とかかなー」
保「それ、面白いんだけど、文章にするとわりと普通の話になるのがネックね。私はくるみちゃんが千秋さんたちインテリジェンス勢との駆け引きに挑む『一撃必殺大沼くるみ』が独白満載で良いと思うんだけど」
凛「私は、私と奈緒が慣れないスプリントのリードアウトに苦戦しつつ加蓮を勝利に導く『刹那のスプリンター北条加蓮』が好きだな」
神「よく分からんけど、アタシそんなことになってるのか」
文「…よく分かりませんけど、さすが凛さん。手前味噌とは恐れ入ります」
凛「実は、デレステで私たち三人のイベントがあるんだ。だからトラプリ要素を入れてみたよ」
神「そういうことか。トラプリの新曲、よろしくな」

夏「はは、勝手に盛り上がってるぞプロデューサー」
杏「ちゃっかり宣伝もしてるし」
P「『最強!凸レーショントレイン』『一撃必殺大沼くるみ』『刹那のスプリンター北条加蓮』。すべて脳内ライブラリに実在するレースです。が、文章にする自信がないです」
比「プレッシャー、お察ししまス」
P「プロデューサーの心、アイドル知らず……」