家に智絵里軍団

シンデレラガールズと雑談のパッチワーク(主にプロレス・自転車談義)

過去SS再掲載シリーズ

シュレディンガーの狸

今にも雨が降り出しそうな、澱んだ曇り空の下。 薔薇の館が見下ろす中庭の一角に、五人の生徒が集っていた。不気味に生ぬるい風が、館の周りを、そして五人のあいだを吹き抜ける。 「『シュレディンガーの猫』を知ってるかしら?」 おもむろに口を開いたのは…

薔薇の館は地獄だ!

1. 彼女は一人ではなかった。 定員オーバーだわ、と小笠原祥子は思った。 いまこの部屋には六人の人間がいる。伝統的にこの部屋は九人集合が基本で、それ以上集まることもたびたびある。物理的には充分すぎるほど余裕があるはずだ。 それなのに、まるで満…

目薬をさして

たそがれどき夕日色に染まった新聞部の部室inクラブハウス お姉さまの奏でるキーボード打撃音をBGMに真美は赤ペン片手に原稿のチェックをしていた (夕日の赤と赤ペンの赤)(このふたつの赤を、同じ『赤』という言葉で表現しても良いものだろうか) な…

通過儀礼

私の名前は高知日出実。記者だ。山口真美さまが私のお姉さまだ。 ただし、今から書くのは、私が真美さまの妹になる以前の出来事である。 新聞部に入部して少し経ち、徐々に一人前の仕事を任されることも増えてきたある日の放課後。私は、部室で原稿書きに精…

フローズン・ローズ

ひゅう、という鋭い音を立てて、凍えるような北風が吹き抜けていく。 「はっくしゅん!」 風に対抗するかのように祐巳はくしゃみをした。洟をすすりながら、背中を丸め身を縮こまらせて寒さに耐える。コートの下にカーディガンを重ね着して手袋をはめてマフ…